6年間。
二人の子供の母になってから派遣社員として事務員をしていたけれど、『派遣の事務』の平均時給よりはるかに安い給料で働き続けた。その間、消費税は上がったにも関わらず、時給は1円も上がらなかった。
常に転職を考え、迷う日々。
「私はもっと評価されるべきではないのか。」
そう思う訳は、以前は同じような派遣事務でももっと良い待遇だったことがあるから。
結婚後、長男を授かるまでの間も、しばらく派遣社員として事務の仕事をしていた。その当時の私の時給は、海外に住んだ経験を生かし「英語を少し使う」という条件で、平均時給より少し高い時給を貰えた。
自分の収入で週末には通信の大学の学費を払ってスクーリングにも通い、ビジネスに役立つ知識を学ぶことも出来たし、年に2回は高校時代の同級生たちと海外旅行を楽しめた。
だから当時は派遣のままでも良いと思っていたのだ。
ところがその後、世の中派遣切りや、派遣法改正などで、状況が色々変わった。
私も妊娠・出産というライフイベントがあった。
長男を妊娠しても、仕事を続けたかったが、悪阻やら切迫流産やらで通勤が厳しくなり、仕事を辞めざるを得なかった。
経験・実績があれば、また仕事はすぐに見つかると思っていた。
ところが、こどもが産まれてから、その当時と同レベルで仕事を探しても、ちっとも見つからなかった。
「赤ちゃんがいる」それだけで、最初から仕事を紹介して貰えない、としか思えなかった。
次男が生まれた頃、偶然近所に保育園が出来た。仕事はまだ見つからなかったが、保育園に申し込み、運良く入園できてから、仕事探しを継続した。
そしてやっと紹介してもらえた仕事が、最初に言ったように「平均より安い時給」の仕事だったのだ。幸い、夫の稼ぎで生活はできるが、どうしても納得できない自分がいた。
「私はもっと評価されるべきではないのか。」
常に迷う。
転職すべきじゃないか?
時給は安いが、こどもの発熱などで急に休んだりしやすい環境だったので、その点は有り難いことだった。人間関係も100点満点とはいかないが、良好だった。辞めるには惜しい。
どうしよう。
6年間。
迷いに迷って、
転職することを決断した。
「年度末で辞めます。」
ついに上司に言った。
転職サイトや、別の派遣会社に登録して仕事を紹介してもらったり、面接に行ったりをはじめた。
すると、同じ職場の別の部署に「転職」することを上司から提案された。
何より、
上司が評価してくれていた、
それが嬉しかった。
信じられないが、
私が辞めるには惜しいと思っていた環境はそのままに、待遇も良くなったのだ。
「転職」というか「異動」だけれど。
あの時たくさん迷って
辞める決断をして良かった。
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